大きなショックを受けたとき、あるいは不安や不満をたくさん抱えているとき、人は人生を「つまらないもの」だと感じてしまう。
いつの間にか頭の中はネガティブな気持ちでいっぱいになっていて、考えることや思いつくことが全て後ろ向きなものになっているから、自分自身や自分の人生そのものに価値を感じられず「つまらない」と感じてしまうのだ。
悩みは、放っておくとどんどん深みにはまっていく。
明るく前向きな本来の自分を取り戻すためには、この悪い流れを断ち切らなければならない。
そこで、週末の一時間を使って、気分を切り替える簡単な方法をご紹介しよう。
目次
人生をつまらないと感じる原因
人間は、不幸な事件や事故に巻き込まれても、すぐに落ち込むわけではない。
どんどん膨らむネガティブな気持ちを抑えきれなくなってしまった結果、ついに、「人生はつまらない」と感じるようになる。
頭の中のネガティブの連鎖
気分の落ち込みは、悩みすぎによって起こる。
ショックを受けたり、損失に気付いて、すぐに人生に悲観するほど落ち込むことは無い。
ショックを受けたときの胸の傷がじわじわと大きくなっていく時に、頭の中では、思い浮かぶこと、考えることがどんどんネガティブに染まっていく。
あの時も上手くいかなかった、あの時もダメだった。そう言えば、あの時も…
こうして普段は思い出さないような過去の失敗まで思い出してしまう。
その結果、自分の存在や自分の人生そのものに悲観するようになり、
「生きていてつまらない」「人生って何なんだ?」
という考えに至ってしまうのである。
我々の脳は、注目したことに関する情報を集める性質がある。
このため、自分が受けたショックな事件、発生させたミス、将来への不安のようなネガティブなことを考えていると、過去に受けたショックな出来事や過去に犯した失敗などがどんどん思い出され、いつの間にか頭の中はイヤなことでいっぱいになっていくのである。
疲れがたまっている
人間は、疲れているときほど、ショックに弱い。
普段の元気な時は、多少のショッキングな出来事も受け止めることができるし、前向きに考え直すこともできる。
しかし、日々の忙しい仕事などに追われ、心身ともに疲れている状態だと、ショッキングな出来事を受け止めきれない。
ましてや、大失敗や大きな挫折は、とてもじゃないが受け止めきれるはずもない。
そして、受け止めきれなかったとき、頭の中は、前述のようにどんどんネガティブなことに染まっていき、ついには、
「人生はつまらない」「生きる意味が感じられない」
という、普段なら考え付かないような結論に行きついてしまうのである。
前向きに考えること、自分や未来に希望を持つこと、気分転換のために行動を起こすことは、実はエネルギーが必要だ。
しかし、心身が弱っているときは、こうしたエネルギーを確保できない。
忙しく疲れている人ほど、多少のショックでも落ち込んでしまうため、落ち込むことが多く、自分への無力感に悩み、人生を悲観してしまうのである。
人生がつまらないと感じたときの対処法
人生がつまらない…と落ち込んでいる人は、頭を使いすぎて、身も心も疲れてしまっている。
ここまで悩み疲れている頭では、前向きに考えることもできないし、複雑なことも考えられない。
そこで、まずは疲れた頭と体を癒す必要がある。
悩み疲れた頭には、ヒートアップした状態をいかにクールに戻すのか、ということが大切になる。
とにかく頭を整理すること、悩みでいっぱいの頭を他のことに使うこと、あるいは癒すことで、短時間で気持ちを立て直すことができるのだ。
メモに書き出す
悩みは、複雑なように見えるが、結局は矛盾したことや、どうにもならないことを考えていたりする。
つまり、悩んでも解決できないことをいつまでもグルグル考えている。
さらに問題なのは、悩んでいるときには、悩んでも仕方のないことを悩み続けていることに自覚がないことだ。
そこで、こうした無駄な時間とエネルギーを節約する簡単な方法がある。
メモに書き出すのである。
まず、身近にある紙とペンを用意し、思っていることを書き出してみよう。
因果関係や時系列も関係なく、ただひたすらに頭に浮かんだ言葉を、思いついた順に書き出していく。
すると、不思議なことに、みるみる落ち着きを取り戻す自分に気付くだろう。
これはヒートアップした脳が、クールダウンしたからである。
悩んでいる状態というのは、頭の中でモヤモヤしたものをモヤモヤしたまま考えている状態である。
整理できていないことを整理できていないまま考えるから、頭の中はパニック状態。
これでは問題の本質がつかめないから解決の方針が立たないし、同じことをグルグル考えてしまう。
ところが、頭の中で飛び交っていた思いを言葉としてメモ用紙に吐き出すだけで、「一体何が自分を苦しめているのか」という悩みの本質を、改めて視覚的に理解することが出来る。
こうして暴走気味だった頭がクールダウンしていく。
たいていの悩みは、大げさに受け取っていたり、たった一つのストレス源がどんどん膨らんでいったものに過ぎない。
そこで、この「メモに書き出す」という方法によって、悩みを大げさに受け取っていた事実に気付き、思ったより事態は深刻ではないことを理解できるだろう。
部屋を掃除する
なんだか退屈だなぁ、つまらないなぁ、と感じるときにおすすめの方法は、掃除をすることである。
一見、まったく関係ないように感じられるが、気持ちを前向きにするにはとても良い方法である。
悩んでいるときというのは、頭も体も疲れている。
疲れた頭を休めるのには、簡単な作業に没頭すると良い。
そして掃除程度なら頭も使わず軽作業で済むため、心身ともに負担が少なく、悩み疲れた心身にとってちょうどいい気分転換になる。
しかも、掃除の後は、キレイになった部屋を見て気分も良くなる。
とにかくモヤモヤしているときは、部屋の掃除をしてみることをおすすめする。
ところが、真面目な人は、部屋全体を掃除しようとしたり、大掛かりな模様替えに挑戦しようとしたり、とにかく部屋の掃除に対してもハードルを上げがちである。
これではかえって、疲れしてしまう。
目的は部屋を掃除することではなく、気分転換である。
自分がいつも使う場所、あるいは、寝室だけでもいい。
とにかく一部だけでいいから、片付けや掃除をしてみよう。
外出する
とにかくつまらない、人生なんて面白くない、と考えている人は、ずっと部屋の中に引きこもっていないだろうか。
本当は部屋の中にいることがつまらないだけなのに、そのまま引きこもっているから、くすぶった気持ちが発展して、人生にまでつまらないと感じてしまうのだ。
いつもいつも部屋に閉じこもっていたら、何の新鮮味もなく退屈に感じるのも無理はない。
もし、外出するくらいの元気があるなら、とにかく外に出よう。
散歩やサイクリング、ドライブは、いい気分転換になるし、外の新鮮な空気を吸うこともできる。
忙しすぎて意識していなかった季節感や、環境の変化を感じることもできる。
こうした新鮮味が、疲れた体と頭を癒してくれ、明日を生きる元気につながる。
日本は四季がはっきりした国である。
季節の移り変わりは、時間の経過と自分の成長を実感させるものだ。
しかし、毎日毎日、会社と家の往復ばかりで、生活に変化を感じられないと人生をつまらないものだと感じやすい。
変化がなければ、成長の実感もなく、充実感も得られないからだ。
これでは、働くために生きているようだと勘違いしそうだ。
もちろん、違う。
生きるために働いているのであり、自分が生きている場所は「会社」ではなく、この「地球」、あるいは「日本」であるということを忘れてはならない。
好きなことで過ごす
好きな漫画、映画、音楽があれば、それを楽しむ時間を設けよう。
最近、好きなものに浸った時間があっただろうか。
悩みに集中していると、息抜きを忘れがちである。
そして、いつの間にか心身に疲労がたまり、前向きに考えることが難しくなり、とうとう、人生なんてつまらない、と言うところまで行きつく。
頭を使いすぎていると、脳にもストレスがかかる。
だから、時には頭を休ませたり、癒してあげる必要がある。
つまらないな、気分が晴れないな、と感じるときは、好きなことをしよう。
ゲーム、マンガ、アニメ、小説、音楽などなど、とにかく悩みでいっぱいの頭を他のことに切り替えよう。
すると疲れた脳がリフレッシュして、前向きな気持ちを取り戻すことができるだろう。
頭には筋肉はない。しかし、疲れるし、癒しを必要とするものであるということを、覚えておこう。
好きなものを食べる
食べることは元気に直結する行為である。
前述の「好きなことで過ごす」と同じように、人生を悲観するほど悩んでいるときには、自分の好きなものを好きなだけ食べよう。
ここ最近、好きな食べ物を我慢し続けていないだろうか。
太るから、高いから、と本当は好きなものを我慢していないだろうか。
気分の落ち込みは疲れた証拠。
好きなものを食べて、疲れた心身をいやし、生きている実感を得よう。
おいしいものは高価だが、その分の感動と元気をもらうことができる。
たまに食べるおいしい食事は、「明日も頑張ろう」と思えるものだ。
こうした前向きな気持ちを持つためにも、明日から元気に生きるためにも、今自分が最も食べたいものを食べよう。
話す
人生なんてつまらないな、生きるってなんだろう、と落ち込んでいるときに、一番よくないのは、落ち込むほどの辛い気持ちをため込んだままにすることである。
この時、最も効果的なのは、誰かに話を聞いてもらうことである。
前述の「メモに書き出す」に似ているが、自分の思いを吐き出すことで、気分が楽になる。
人生なんてつまらない、生きている理由が見つからないという人は、自分の存在意義を疑い、自分の無力感に打ちひしがれている。
そんなときに、自分の愚痴を聞いてくれる友達がいてくれる、というありがたみが自分が存在していいという安心感を与え、落ち込んでいた時の無力感から解放される。
自分の話を聞いてくれる存在である友人は、救いの神でもあるのだ。
話を聞いてくれる友達を、大切にしよう。
酒を飲む
酒は大昔から、厳しい現実に疲れた人々の気持ちに寄り添い続けてきた。
今なお、酒が改良され、進化を続けているのは、人間には酒の力が必要だからである。
気持ちよく酔ったときは、一時の現実逃避をさせてくれる。
厳しい現実に向き合い続けることは、本当は辛すぎることなのだ。
現実の世界には、解決できる問題ばかりではなく、悔やむに悔やみきれないこともたくさんある。
そうした現実とうまく距離を保つために、酒は、昔から重要な役割を果たしてきたのである。
ただし、飲みすぎに注意すること。
酒に救いを求め、酒に依存すると、アルコール中毒になってしまうし、肝臓を傷め、脳へのエネルギー供給に障害が発生し、頭も冴えなくなる。
酒に限らず、現実逃避はほどほどに。
風呂に入る
人生をつまらないと感じるほど悩んでいる人は、緊張感で全身がガチガチに固まっている。
全身の血行も悪く、特に手足が冷えており、まるで干物のようだ。
そこで、風呂に入ることで、固くなっていた筋肉は緩み、全身がリラックスする。
その冷え切っていた体が温められ、血流が増加する。
日本人は昔からお風呂が好きだ。
それは、風呂に癒し効果があることを知っているからである。
人生に悲観するほど悩んでいる人は、自分に対する癒しが足りない。
そこで簡単にできる癒しが、「お風呂」というわけである。
寝る
悩みと疲れは、お互いに悪影響を与え合う関係がある。
悩みはエネルギーを消費し、体が疲れやすくなる。
逆に、体が疲れているときは、頭が働かず、落ち込みやすくなる。
この悪循環を断ち切るためには、体力を回復させる必要があり、体力を回復させる効果が最も期待できるのは、寝ることなのだ。
生きていても意味がないとか、人生も仕事もつまらない、と思いつめてしまった時や、趣味やちょっとした外出でさえもおっくうで何も手がつかない時は、
「身も心も疲れ切ってしまった」「活動エネルギーが足りない」
というサインである。
こういうときは、体からのサインを素直に受け取り、とにかく何もせず、布団にくるまって、寝てしまおう。
そして、起きた後は、寝る前よりも体力を回復させているはずである。
睡眠こそ最大のエネルギー補充の方法なのである。
人生がつまらないと感じた時の対応まとめ
その時の気分の落ち込み具合に合わせて、対応を考えよう。
布団から起きることができないほどであるなら、そのまま二度寝したほうがいいし、起き上がることができるなら、部屋の中でできる気分転換をしてみる。
もう少し元気があるなら、外出してストレス解消する。
あるいは、完全に頭の中がパニック状態であるなら、メモに書き出す対応が良いだろう。
布団から起き上がる元気がない、あるいはまだ寝ていたい、と感じた時は、自分の気持ちに従った方がいい。
そこで無理矢理、重いからだを引きずってストレス解消しようと外出したり、やりたくもない部屋の掃除をしても、余計に疲れるだけで、さらに回復は遅れるだろう。
自分の体が何を求めているのか、声なき声に耳を傾け、程度に合わせた対応を意識しよう。
そして、いつも前向きな人ほど、こうした気持ちのメンテナンス習慣を身に付けており、常に前向きな気持ちでいられるように気を付けているのである。
注意点 気分を切り替える、その前に大切なこと
ここまで、人生がつまらないと感じるほど落ち込んだ時の気分を立て直す方法を紹介してきたが、もっと根本的な部分で注意しなければならないことは、自分の感情を否定しすぎないことである。
一部の人は、自分の感情を押し殺すことに慣れすぎている人がいる。
「喜んではいけない」「落ち込んではいられない」「我慢しなければならない」
特に男性は、社会が求める男らしさに応えるべく、小さいころから感情を抑えることを教え込まれてきた。
男なら泣くな、男は黙って○○、○○するなんて男らしくない、と。
しかし、人間は、大きなショックを受けたとき、沸き上がる感情をまず消化しなければならない。
そして、ショックが大きいものであるほど、その傷をいやすことに時間とエネルギーが必要になる。
あまりのショックに大ダメージを受けてしまい、寝込んでしまうこともある。
これは人間として当然の反応であり、精神的に弱いからではなく、それほどショックだったのだ。
ところが、このようなショックを受け止め消化しなければならないのに、そうした感情を否定しているために、未処理の感情がストレスとなって体に蓄積していくことになる。
感情を押し殺すことを習慣化してしまうと、体中にストレスが溜まっている状態になる。
感情を発散せず我慢を重ねていると、悩みやすく、くじけやすい体質になっている。
体に蓄積した未処理の感情が、常にその人の活動エネルギーを食っているのである。
日々の生活を常に前向きにするためには、感情の消化不良を日常的に対処しなければならない。
そのためには、自分の感情を素直に認め、悲しむべきはしっかり悲しむこと、怒るべきはしっかり怒ることを大切にしよう。
そして、その方が立ち直りが早く、後にも引きづらないし、悩みにくい体質を作ることになるのだ。
ストレス解消は女性に学べ
上記のアドバイスは、女性たちが普段から何気なく行っている習慣でもある。
女性たちは自分の感情の処理の仕方をよく知っている。
女性たちは、外に出かけることが好きだし、新しいものを良く買う。
友達と何時間でもダラダラ話すし、甘いものが大好きで、映画を見てはよく泣く。
そして、よく寝る。
女性は、一般的にセロトニンの分泌が男性に比べて少なく、冷静さを維持することが苦手である。つまり感情に振り回されることが多い。
しかし、だからこそ、感情に振り回されないようにさまざまな方法で自分の感情と付き合っている。
一方、男性は感情の処理が得意ではない。
社会が求める男らしさとして、感情的にならないことが求められる。
男性にとって感情とは、無理にでも押し殺すべきもの、という誤解がある。
だから、何かにつけ、頑張った自分へのご褒美やら、結論のない会話などに違和感を感じている。
しかし、こうした対応こそ、自分の内部にくすぶる感情を処理するテクニックなのだ。
いつも我慢してばかりしている男性は、女性に学ぶべきである。
男性も気分の落ち込みにつらいと感じたら、甘いものを食べたり、買い物をしたり、友達と飲んだり、映画を見て泣けばいいのだ。
女性はストレス解消の天才だ。
真面目すぎていつも我慢ばかりしている男性こそ、女性のふるまいを真似するべきなのである。
まとめ
大きな失敗や突然の不幸にショックを受け止められない時、あるいは失敗を悔やんでいるうちに頭の中がネガティブでいっぱいになってしまった時。
感情を処理しきれず、「人生はつまらない」と感じてしまう。
その苦しみがどんなに大きくて、人生の意味を見失うほどであっても、一時的なものだ。
少なくとも、そう信じよう。
悩み疲れた頭と体には、癒しが必要だ。
なんだか気分がさえないな、同じことをグルグル考えているな、といったときは、早めに頭を休めたり、体を癒すことで、無駄に落ち込みすぎることを避けることができる。
いつもギリギリまで我慢して疲れ切ってしまうような人は、時には休み、時には遊ぶことで、人生という限られた時間を、できるだけ多く前向きでいられるようにしよう。