考えがまとまらず、ぐるぐると思考のループから抜け出せない。
ショックを受け、何事にも気分が乗らず、元気が出ない。
なんだかよくわからないが、胸がザワザワする。
このように気分や体調がすぐれず、非効率的な一日を過ごしてしまったことはないだろうか。
時間は戻ってこない貴重なものだ。こんなにもったいないことはない。
仕事も人生も制限時間がある。
できるだけ早く気分を立ち直らせ、生産的に時間を過ごしたいものだ。
しかし、一体どのようにすれば、生産的な時間を取り戻すことができるのだろうか。
メモの力
課題の本質がつかめず、解決の糸口が見つからない。という迷い。
どうしてこんなことになってしまったのか。という後悔。
つかみどころのないモヤモヤ感や、胸のざわつき。
このような状態では、精神的にも肉体的にも活動的にはなれない。
まるで、霧の中で遭難しているようなものだ。
しかし、解決の道筋や反省するべき課題、モヤモヤの原因が見つかるだけでも、
上手くいきそうな予感や爽快感を獲得し、ずいぶんと気分が軽くなる。
このわずかな前進のために必要な、非常に取り組みやすい方法がある。
それは、「メモを取ること」である。
メモを取ることによって、頭が整理されたり、気分がすっきりしたり、元気を取り戻すことができる。
つまり、いつまでも続くモヤモヤとした無駄な時間を過ごさずに済むのだ。
さあ、どんどんメモを取り、無駄に時間を過ごしてしまうということを省いて、
人生をできるだけ生産的な時間で満たし、人生を充実したものにしよう。
メモの取り方
メモの取り方と言っても特別な準備も手法もない。
紙と鉛筆を用意し、とにかく書き出す。
紙と鉛筆の準備ができたら、頭に浮かんだ言葉を思いついた順に書き出していく。
箇条書きでも詳細でも、図示でも何でもよい。
この時点で状況をある程度把握できている場合は、ある程度書き出せる。
課題の背景、目的、アクションとその結果、ここに介入してくる事象など。
または、感情Aと感情Bと感情Cが混在しているという状況の説明など。
一方、つかみどころのない気分のモヤモヤ感については、書き出しにくいかもしれない。
気分とは本来、抽象的なものだ。言語化しにくいのも無理はない。
このようなときは、思いついた言葉を書くだけでよい。
コツは何でもかんでも思いついたことを書きだすこと。
モヤモヤしているときは特に書き出しにくいので、モヤモヤの原因の可能性があるものについて、無責任に書き出す。
すると意外な効果に驚くだろう。
メモの絶大な効果① 冷静さを取り戻す
頭に浮かんだ言葉を書き出すだけで、不思議と落ち着く感覚を得られるだろう。
思考が整理できなかったり、胸がザワザワしたままの状態というのは、脳がヒートアップしパニックを起こしている状態である。
このように、脳が感情に支配されていると思考がまともに機能しない。
そこでメモを取り、見える化することでクールダウンを目指す。
脳はメモによる言語や図示により状況を見える化するだけで、
それまで脳内でガヤガヤと暴走していた思考が、余計な情報がカットされることで、見えるものに集中できるようになり、
脳の負担が軽くなることで冷静さを取り戻すのである。
また、もう一つの効果がある。
メモを取ろうとするだけで、メモをする作業自体に神経を集中する。
ある作業に集中したときは、脳はそれ以外の情報をカットするので、
メモをしようとしたり、メモの準備をしようとしたときから、本人はもう冷静さを取り戻しつつある。
概念的なものをそのままにしていると脳内は暴走し続けたままである。
しかし、1つ見える化することで、1つ冷静さを取り戻す。
その調子で、1つではなく、2つ、それより3つ、と積み重ねていくと、
いつの間にかメモする作業にどんどん夢中になり、気が付いた時には信じられないほどの冷静さを取り戻しているだろう。
メモの絶大な効果② 原因がわかり気分が軽くなる
考えがまとまらない、気分がモヤモヤするという状態には、必ず原因がある。
しかし、その原因を把握できなければ、そのモヤモヤは解消されることは無い。
それ以前に、いったい何に悩んでいるのかもわからなければ、悩みの解決どころか状況の把握さえままならず、悩みのループに閉じ込められたままだ。
これではいつまでたっても気分が晴れないだろう。
メモはモヤモヤの原因を明確にしてくれる。
モヤモヤの原因はイライラだったということがわかったり、期待外れの結果に失望したのかもしれない。
こうしたモヤモヤの原因がいったい何なのかを理解できるだけでも気分が軽くなるものだ。
また、状況が複雑に絡み合っていても、メモの力で真の原因にたどり着くことができる。
一般的に、どんなに悩みやモヤモヤを複雑に感じていても、その要因はせいぜい3つか4つくらいだ。
たった3~4つの悩みに翻弄されているに過ぎない。
意外に事態は複雑ではない。複雑に感じているだけなのだ。
メモ用紙を前にして何とか紡ぎ出した言葉は、真の原因を探るヒントになる。
そのような言葉が多いほど、モヤモヤに対する理解を早める効果がある。
・ある相談者の例
連日、朝起きたときから気分が悪いという。
そこで私は、紙に頭に浮かんだ言葉を書き出してみることを提案した。
そして一時間後、この相談者は私に感謝していた。
本人は、いったい何に悩んでいるのか、何に気分を害されているのか、を理解できていないから、あてもなくモヤモヤの中をさまよっていたのだ。
このケースでのモヤモヤの原因は、数日前に知人に言われた一言にひどく傷ついていたことだと判明したのだが、この相談者はそれに気づかないまま日々をモヤモヤと過ごしていたのだ。
ここで注目すべきなのは、状況は何も変化していないのである。
しかし、状況を理解することができただけで気分を軽くすることができたのである。
このように状況を理解することで気分が軽くなることはよくある。
例えば、悪い状況の原因が自分の責任ではない場合である。
その時は、どうにもならないことを自分が悩んでもしかたない、と考え直すことで悩むことをやめ、他の本来やるべきだった優先度の高いタスクに集中することにしよう。
メモを習慣化する
一度でもメモをすることによる効果を実感できれば、習慣づけられるのではないだろうか。
困ったときは、とにかく書いてみることをお勧めする。
書く方法についてだが、書く対象や書く手段は何でもよい。
紙とペンはもちろん、ホワイトボードとマジック、スマホのメモ機能でも全く問題ない。
今開いているPCでも、ノートの端でも構わない。
何かに踏みとどまったり、状況の停滞に気付いたらとにかく書いてみること。
このような意識でいるだけで、メモの習慣は身につくだろう。
効果が高いからだ。