会社に行っても毎日同じことの繰り返し。誰でもできる仕事だし、給料も安い…
これでは仕事なんて面白くないのも当然。やりがいも感じられないだろう。
人は、努力に見合った評価や報酬を受けた時、やりがいを実感できる。
お客様から感謝の声をいただいた時、努力が認められた時、給料が上がった時、人間が潜在的に持っている承認欲求が満たされ、今の仕事に満足する。
しかし、仕事にやりがいを感じられない人は、こうした充足感を得られていない。あるいは諦めてしまって努力に身が入らず、さらに評価されにくいという悪循環にはまっている。
仕事にやりがいを感じるためには、転職よりも気づきが必要だ。
それでは、仕事にやりがいを感じるための気づきとはどのようなものか、解説しよう。
目次
仕事にやりがいを感じられない理由
仕事にやりがいを感じられない人は、今の仕事に対するさまざまな不満を抱えている。
自分の思いと会社側の対応や方向性のズレが、気持ちをくすぶらせている。
- どんなに頑張っても評価が低い、給料が少ない
- 仕事がいつも同じ繰り返しで飽きた、成長が見込めない
- 仕事に社会的意義を感じられず、仕事に誇りを感じない。
- 会社や業界が斜陽産業で、先行きが不安
- 社内が否定的な意見が多い、または人間関係、連携が悪く仕事がなかなか進まない
- やりたい仕事が他にある
- 仕事の適性を疑っている
こうした思いが渦巻いており、さらに複数組み合わさることでさらに会社や仕事への不信が高まり、さらにやりがいを見いだせなくなる。
そして、自分を正当に評価してくれる場所、もっと自分が求めている場所を外部に求め、転職を考えるようになる。
仕事にやりがいを感じない心理学的な理由
仕事にやりがいを感じられない理由は、さまざまである。仕事をするうえで何を重視するかは、個人の価値観によるからである。
しかし、仕事にやりがいを感じない理由は真実だとしても、なぜその仕事を続けるのだろうか。
それは、それでも仕事を続ける理由の方が本音だからである。
理由の後付け
仕事にやりがいを感じない理由は様々あるが、実はどれも説得力に欠けている。
なぜなら、仕事にやりがいを感じない理由など、思いついただけの意見にすぎないからだ。
人間には、感情的な結論を正当化するために、理由を後付けする性質がある。
つまり、「仕事がつまらない」という事実を正当化するために、仕事にやりがいを感じない理由を挙げているのである。
本当は今の仕事に満足している部分があるはずである。
その満足できているわずかな部分が、転職を踏みとどまらせているのではないだろうか。
やりがいを感じる時とは
人は潜在的な欲求が満たされた時、「やった甲斐があった」と実感する。
努力が認められたとき、成長や前進を実感できた時、社会とのつながりを実感できた時などである。例えば、
- 感謝の言葉をもらったとき、褒められたとき、昇格したとき
- 仕事をやり遂げたとき、目標を達成した時、自分の意見が通ったとき
- 仕事を任されたとき、成長を感じたとき
- 順調に進んでいるとき、好きな仕事ができているとき
- 社会とのつながりを感じた時、頼られたとき
つまり気持ちが満たされるものがあれば、やりがいを感じることができるのだ。
しかし、こうしたほう種から遠ざかっていると、やりがいを忘れてしまう。「努力が報われていない」と感じ、仕事がつまらないと感じてしまう。
自分と向き合っていない
人間には、何かに抱いた不満を別の何かに不満を投影してしまうという性質がある。
「仕事にやりがいを感じない」という不満の本当の原因は、自分に対する不満を投影している可能性がある。
例えば、どんなに努力しても評価されない原因を上司や職場に求めたり、自分の努力不足、スキル不足を仕事の適性が無いからだと考えたりする。
こうして外部に原因を求めてばかりいると、本当に改善するべき自分の課題を無視し続けることになり、さらにスキルは伸び悩む。
そして自分のスキルに自信がないから転職することも決意できず、今の職場にい続けている。
悪循環にはまっている
仕事にやりがいを感じない人は、悪循環にはまってしまっている。
・どんなに努力しても認められない。社会的な意義を感じられない。そもそも面白くない。だから仕事に身が入らない。
↓ ↑
・仕事に身が入らなければ、高い実績を作ることはできない。だから、周囲から評価もされないし、仕事への興味が無くなっていく。
この二つの間をグルグル回っている。そして時間の経過とともに、優秀な人との差が開いていく…
このままでは、どんどん「やりがい」から遠のいてしまう。何とかしてこの悪循環を破壊する必要がある。努力が正当に評価される好循環に変えなければならない。
そこでカギになるのは、仕事に対する「満足感」を作ることである。
仕事のやりがいの見つけ方
心理的な充足感を得ることができれば、仕事にやりがいや誇りを感じることができる。
やりがいを感じることができれば、さらに仕事に努力することができ、評価も高まる。
評価が高まれば、やりがいを感じることが出来、モチベーションも上がる。
今の仕事の社会的意義を再確認する
自分の仕事の社会的意義を再確認しよう。
自分がいなくなったら、自分の会社が無くなったら、自分の業界が無くなったら、一体どれだけたくさんの人が困るだろうか。
想定の範囲を、国レベル・世界規模まで拡大してシミュレーションしてみよう。
「代わりは他にいくらでもいる」という考え方は、厳禁。
真面目に考え、一体どれくらいの人々が、どれくらいの市場規模で混乱が起こるか試算してみよう。
普段我々は仕事に対して視野が狭すぎる。
たまにはこうして広い視野で考え直してみて、自分のポジションの重要性を再確認することで、社会的な意義、社会とのつながりを実感でき、改めて仕事のやりがいを取り戻すことができるのではないだろうか。
これまでの実績を確認する
仕事にやりがいを感じない人は、周囲から評価されないことに不満を抱くが、最も評価していないのは自分自身である。
そこで、今まで自分が残した誇るべき実績を確認しよう。
- これまでどんな努力をして、何を残してきたのか。
- 過去にどんなことを評価されただろうか。
- 今の自分は何を任されているのだろうか。
どんな仕事も何かの形に残っているものだし、どんな仕事もスキルを見込まれて任されたものだ。
一体自分は周囲にどのような期待をされ、どのように期待に応えてきたのか、振り返ってみよう。
また、今の自分のポジションはこうした過去の信頼の蓄積で作られていることを理解しよう。
目標を立てる
目標がないと目指すものが明確にならず、モチベーションは上がらないものである。そこで、自分なりの目標を立てよう。
そして大切なのは、目標に向かって努力したことで、自分が成長したことを実感することである。
どんなことができるようになったのか、どんな仕事を任されるようになったのか。
仕事を通して自分の成長を実感できた時、人間はやりがいを感じる。
仕事は単なる金を稼ぐ場ではない。こうした自分を成長させる場としても機能しているのである。
転職する
人生において会社で過ごす時間は多い。年間200日以上も過ごすのである。
そんなところで無駄な時間を過ごしてはいけない。自分にふさわしい場所に移転するべきである。
仕事への不満を感じる理由を明確に答えることができ、他社でも即戦力として頑張れる自信があるなら転職しよう。
- 評価や報酬に不満があるなら、正当な評価をしてくれる会社へ。
- 会社や業界に不安があるなら、将来性を感じる会社へ。
- 社会的意義を感じないなら、社会的な意義を感じる会社へ
- やりたい仕事が他にあるなら、やりたいことができる会社へ。
もし自信がないなら、まだ転職は早い。今の仕事でしっかり努力し実績を作り、自分に自信を持ってからにするべきだ。
なぜなら、転職活動では実績を必ず聞かれるし、転職後の会社でも自信がなければうまくいかない。残念ながら、仕事の自信は仕事で付けるしかないのである。
仕事に「やりがい」なんていらない論
仕事にやりがいなんて求めなくてもいい、という考え方もある。
確かに、仕事にやりがいを感じることができなくても、オフの時間を楽しむことができれば、十分に人生を楽しいものにできる。
どうも日本には、仕事を生きがいにしたがる風潮がある。社員全員で一丸となり社会に貢献する喜び、働くことのありがたみに感謝したがる。
一方、欧米人は真逆の考え方をしている。
キリスト教圏の人々は、労働は神から与えられた罰と考えている。なぜなら旧約聖書にそう書いてあるからだ。(知恵の実を食べたアダムは神に楽園を追い出されて働かざるを得なくなった。)
だから、欧米の人々にとって仕事は、とっとと終わらせたいものであり、早く終わらせようと効率を上げることに必死だ。
いかにサボるか、いかに手柄を大きく見せるかを考えており、内容よりも説得力を上げる技術が高い。
そもそも、やりがいなんて言葉は一時的で一面的な表現に過ぎない。
感謝された時、評価された時、給料が上がった時などの一瞬の感動でしかなく、その他の仕事に対する不満は消えるわけではない。
だから、やりがいのある仕事を求めるという考え方そのものがズレている。
どんな仕事にもやりがいを感じることができるし、どんな仕事にも不満はあるものだ。
大切なのは、今の仕事に感じるささやかな「やりがい」を大切にすること。そして自分の可能性を信じ、努力を続けることだと思う。
まとめ
仕事にやりがいを感じるかどうかは、その時の自分の心理面に直結している。
つまり、やりがいを感じない仕事に問題があるというより、仕事に対するモチベーションが下がっているときに、やりがいを見失ってしまう。
逆に考えれば、気持ちに充足感があれば仕事にやりがいを感じやすい。
例えば、仕事ぶりを評価されたり、社会に貢献している実感が得られたときなどだ。
つまり、仕事を通じて充足感さえ満たすことができればいいのだ。だから、転職を考えなくても、今の職場で十分やりがいを見つけることができる。
もちろん他にやりたい仕事があるとか、適性を感じる仕事があるとか、もっと社会的意義を感じる仕事に就きたいという明確で強い意思があっても構わないし、どんどん挑戦するべきだが、
手元にある仕事を丁寧にがんばるだけでも、十分にやりがいなど感じることができるのである。