圧倒的な仕事量、ギリギリの期限、厄介な交渉、めんどくさい上司…職場というところは、どうしてもストレスがたまる場所だ。
しかし、ここでため込んだストレスを翌日に持ち越してしまうと、さらに状況は悪化してしまう。
頭の回転は鈍くなり、仕事の効率は落ちる。もちろん満足な仕事はできない。
だから、職場で抱え込んだストレスは、その日のうちに解消する必要がある。そして翌朝、「今日も頑張ろう」と自然に思えることが理想だ。
それでは、翌朝までに職場のストレスを解消する具体的な方法について解説する。
目次
なぜ、職場のストレスを解消しきれないのか
朝から元気がなく体が重い。職場に着いてもやる気が出ない…
それは、昨日までのストレスを解消しきれず今日に持ち越してしまったからである。
ストレスを今日に持ち越してしまった理由は二つしかない。
職場でストレスを抱え込みすぎているか、ストレスを解消しきれていないか、である。
ストレスの多すぎる職場
- 業界や会社の経営状態の低迷、あるいは消滅が目に見えている
- 人間関係が悪く、足の引っ張り合いや責任の押し付け合いが多い
- 人格に問題ある上司や社長からの理不尽な要求
- 多すぎるノルマや配慮のない仕事量
職場というところは、どうしてもストレスがたまる場所である。
職場では様々な人々がそれぞれの役割をもって働いており、自分のペースで仕事を進めることができない。
理不尽で強権的な上司やピリピリした同僚で職場の空気は緊迫感に包まれ、それでもコストやルールなどの制限も多い中で何とか、スケジュールに載せなければならない。
こうした心労の絶えない職場であるほど、ストレス解消を効果的に行わなければ、翌日に持ち越されてしまう。
休まない
ストレスを感じていることを無視したり、ストレス解消を甘えのように考えたりする人もいる。
強すぎる向上心が「休んでいる場合ではない」と勘違いさせ、自分を戒めている。
だから、ストレス解消をしない。休憩などしないし、わずかなスキマ時間にも仕事を詰め込む。
起きている間、全てのエネルギーを仕事に向けようとしていて、一見エリートの働き方に見えるが、本物のエリートほどこんな働き方はしない。
その証拠にそんな働き方は長続きしないし、長続きしても高い実績は得られない。
ストレスの多い自宅
本来、自宅は職場でのストレスから解放され、自分を癒しストレスを解消する場でなければならない。
しかし、帰宅後も仕事のことで悩んだり勉強をしているのであれば、帰宅後の生活習慣を見直すべきである。
仕事で疲れた頭ではいいアイデアも浮かばないし、集中力も記憶力も低下している。
そこに無理矢理頭を働かせているなら、職場以上に頭に負担がかかっている。
さらに、職場で疲れた頭では、前向きな考え方ができず、後ろ向きな考えばかりが浮かぶ。
こうして仕事だけではなく人生にも悲観的な考え方をしてしまい、さらに心労を増やしてしまう。
ストレスの認識が甘い
ストレスを翌日に持ち越したことで、自分のスキルが制限されていることに気付いていない。
本来の前向きな考えで積極的に取り組む姿勢を出せないのは、ストレスを引きずっているからである。
しっかりとストレスを解消し元気を取り戻した状態で職場に望めば、本領を発揮できることを知らない。
むしろ本領発揮できていない、消極的な自分が本当の自分だと勘違いしている。
ストレス解消による高い効果を実感できていないことで、重要性の認識ができておらず、ストレスを解消しておくことを軽視している。
ストレスをためやすい性格
- 仕事に対する責任感が強すぎる
- 高い完成度をめざしたり、あれもこれもと手を出す
- 自己否定的で、自分のスキルを低く見積もっている
- いろいろなことに不安を感じやすく、ネガティブなことばかり頭に浮かぶ
このような考え方のクセが身に付いている人は、職場でいつも緊張している。
気が休まることがなく、首、肩、背中、腰が凝り、目が疲れている。職場を離れ自宅に帰っても不安が頭を駆け巡っており、なかなか眠れない。
このような人は、職場に限らずいつも不安と緊張に襲われており、ストレスを感じやすい。
むしろストレスを集めるようなものの見方、感じ方、考え方のため、みるみるストレスが溜まっていく。しかも、こういう人に限って、休まない。
残業や休日出勤にも率先してする傾向があり、たまっていくストレスを無視しがちで、ストレスへの対処も上手とは言えない。
ストレスに対してできることとは
職場ではどうしてもストレスがたまる。
しかし、職場でうまくやっていくには、このストレスを可能な限りその日のうちに消化しておきたいものである。
ストレスと仕事パフォーマンスの関係
ストレスがたまると、前向きな考え方ができなくなる。状況の粗探しでネガティブ要因が目につくし、リスクを取った勇気ある決断ができない。こうしてやるべき仕事をなんとか避けようとしたり、先送りしてしまう。
しかし、しっかりとストレスを解消し、元気を取り戻せば、ものの見方や考え方は前向きで積極的になり、勇気もわいてくる。
つまり、職場というストレスのかかる状況が変わらなくても、上手なストレス解消によって困難な状況に立ち向かう自分のコンディションが良くなる。
だから、日々の職場での仕事パフォーマンスの向上を考えた場合、いかにストレスを少なく抑えていくことがとても重要になる。
ストレスのメカニズム
ストレスがたまるメカニズムは簡単だ。
その日に職場で抱えたストレスをその日に解消しきれない分が翌日に持ち越される。そして、未消化のストレスを抱えて一日が始まり、さらにストレスを抱えやすくなる。
つまり、ストレスを翌日に持ち越さないコツは、職場のストレスを少なくするか、職場で抱えたストレスを消化するか、に分けられる。
しかし、現実的には職場のストレスを軽減することは難しい。自分の努力だけでは改善のしようがない面が多いし、組織が大きいほど困難である。
ということは、いかにストレスを少なくして職場で活躍するか、の回答としては、いかに上手に帰宅後にその日のストレスを解消するか、にかかっている。
ストレスをきっちり解消する方法
ストレスを解消するには、職場でストレスを受けた分、自宅でリラックスすることが基本になる。
しっかりリラックスして、「明日がんばろう」とか、朝起きたときに「今日も一日がんばろう」という言葉が自然と出てくるような状態が理想である。
話す
人は話すだけでもストレスの解消になる。
実は、苦しい思いをため込まずに吐き出すことで楽になれる。疲れている人が愚痴っぽくなるのは、無意識にストレスを解消しようとしているからである。
例えば、風邪を引いた人は体内のウイルスを体外に出そうと、咳という症状が出るが、これと同じことが起こっている。愚痴ることでため込んだストレスを吐き出そうとしているのだ。
だが、「愚痴ることがみっともない」と思っていつも我慢しているとストレスはたまったまま。
そこで、たまには愚痴ってみて少し楽になってみよう。
自分の苦しみに理解を示してくれたり共感してくれる人がいると、それだけで自分の存在を認めてもらえた気がする。そして、弱っていた自尊心が癒され、安心感に満たされる。こうしてストレスが解消される。
だが、愚痴りすぎると相手が疲れてしまうので、注意が必要である。
書く
取り急ぎ愚痴る相手がいない時は、メモに自分の愚痴を書きなぐるだけでも効果が高い。
苦しい思いを吐き出すという点においては、話すことも、メモに書き出すことも同じである。
紙とペンを用意して、どんどん書きなぐろう。
思いついたことを紙に吐き出していくだけで、不思議と少しずつ気持ちが落ち着いていく。たいてい書き始めるといつの間にか夢中になっていて、驚くほどのメモの量になったりする。
これは、紙に向き合うことで、頭の中のごちゃごちゃが整理されていくからである。
ごちゃごちゃを頭の中だけでグルグル考えていると、無駄にエネルギーを消費してしまい、頭がヒートアップしてしまう。
そこで、紙に書き出すことで「自分を苦しめているプレッシャーは何か」「いったい何に不安を感じているのか」を、改めて言葉として理解できる。
そして「今悩むべきことは何か」という優先順位が整理できたり、「今悩んでも仕方ないのではないか」と悩む材料の取捨選択ができる。
このように、メモに書き出すと頭の中が整理され、気がつくとスッキリしている。
どうも頭の中がごちゃごちゃしているな、というときは、一旦メモに書き出してみることをお勧めする。
飲む
お酒もストレス解消の効果は高い。アルコール中毒になる人がいることからもわかるだろう。
酒の効果が高いのは、酔うことで心身の緊張を和らげる効果があるからである。「酔う」とはある種の現実逃避である。
こうして日々の緊張から解放された感覚に浸り、リラックスを生む。
人類はこうして酒に癒されてきた。もはや酒は人類にとって伝統的なストレス解消法なのである。
ただし、飲みすぎると翌日のパフォーマンスを落としてしまうので注意。
アルコールの分解に肝臓に負担がかかりすぎると、翌日は朝からだるくなる。二日酔いはもっと最悪だ。
アル中にならないためにも、適量に押さえておくことが重要である。
風呂を楽しむ
自宅でできるストレス解消は、風呂が最も効果的である。
まず、風呂による血行促進の効果で体力の回復が見込める。
血液には、体中に酸素を送り、老廃物と二酸化炭素を排泄する機能があるが、職場でストレスにさらされた体は、全身が冷えて固まっており、血流が少なくなっている。これでは体は疲れたままである。
そこで、風呂に湯を張り、そこに全身を沈めると全身が温められ血行が良くなり、翌日までの体力回復効果に期待ができる。
最も期待できるのがリラックス効果である。
風呂は問答無用で気分が良くなるものだ。この気分の良さをしっかり味わうことである。自分の好きなお湯の温度で好きな時間、気持ちよくお風呂で過ごすこと。
さらに、このせっかくのストレス解消タイムを仕事や人間関係の雑念に邪魔されない様にしよう。
そんなことは一切忘れて、風呂に入っている間は風呂の快感に浸り、頭を休めることに集中しよう。
寝る環境を改善する
残念なことに、寝ることによるストレス解消効果を甘くみている人が多い。
「疲れたらとにかく寝ればいい」と思っている人は、寝る環境にまだまだ見直す余地がある。
①できるだけ良い環境で寝ること、②できるだけ多くの時間寝ること、を意識しよう。
寝室の環境としては、静かであること、暗いことが必須である。
睡眠の導入から覚醒までの間、誰にも邪魔されない空間を確保しよう。
また、寝具を見直してみよう。
硬いフローリングの上に薄い敷き布団を敷いて寝ていないだろうか。重い毛布や布団に身体を圧迫されていないだろうか。
クッション性の向上や毛布や布団の軽量化は寝ている間の身体への負担を軽減する。
敷布団が薄いなら二枚にしてみる、布団からベッドに変える、上にかける布団や毛布は今より良いものに変えるなど、
改善の余地はいくらでもあるし、悪化することはない。
こうして睡眠の効果をさらに引き出すことができ、翌朝の目覚めの良さを実感できるだろう。
まとめ
いくつか効果的なストレス解消法を紹介したが、本当はなんだってかまわない。
帰宅後にゲームすることが一番のストレス解消なら、それが一番いい。
あるいは甘いものが好きなら、会社帰りのコンビニでお菓子を買って帰るのもいいし、
お気に入りの店があるなら、立ち寄って一杯やってから帰るのもいい。
とにかく帰宅後もストレスに浸ったままにしないこと。
普段から自分にとって何がストレス解消になるのかを把握し、日々の生活に習慣として取り入れ、
職場で受けたストレスを翌日に持ち越さない努力が重要であり、厳しい現代社会を賢く生きる方法なのである。
ストレス解消では解決できない問題に注意
職場には仕事があり、仕事とストレスは切り離せない。しかし、ストレスを過剰に抱え込んでしまう人がいる。
責任感を過剰に感じていたり、完璧主義者だったりすると仕事に対して感じるハードルが高くなり、その分ストレスが多くなる。
また、不安を強く感じてしまったり、自己否定的なものの考え方をする人も必要以上にストレスを抱えている。
つまり、ただでさえストレスの多い職場で、さらに無駄にストレスを抱えてしまう。
これではせっかく効果的なストレス解消を習慣化できても、どんどん職場でストレスを抱え込んでしまい、せっかくの努力も帳消しになってしまう。
実は、同じ仕事をしていてもストレスの量は個人によってばらばらである。なぜなら、ストレスは主観的なものだからである。
70点くらいで良い仕事なのに100点を目指していたり、優先順に片付けるべきなのに全ての仕事に着手してしまったりして、かえって仕事の完成度を下げてしまう。
責任感が強いことや完成度を高めたい向上心は良いことだが、適度に押さえておかないと逆効果。仕事は底なし沼と同じで、完璧になんてできないし、時間もエネルギーも足りない。
そういう人は、考え方を根本的に見直す必要がある。認識のずれを修正して、適度なストレス量に抑える必要がある。
- 仕事を進めるために必要な完成度は、完璧ではなく合格点だということ
- 起こってもいない不安を悩むのは、きりがないこと
- 今のポジションやこれまでの実績にしっかり自信を持つこと
こういう意識を持ち、受け取るべきストレスを適切な量に補正しよう。
周りは普通に頑張れているのに、どうも自分だけが苦しんでいるような気がする…と悩んでいる人は、自分の仕事に対する考え方を疑ってみよう。
まとめ
職場にはいろんな人がいるし、仕事にはストレスがつきもの。どの業界どの会社も経営状態は厳しく、プレッシャーがのしかかる。
その状況でも頑張らなければならないのに、ストレスに対して無策では、いつかつぶされてしまう。だから、何とかうまくストレスと付き合っていかなければならない。
ストレスは目に見えないが、感じることはできる。
朝起きたときに、自然と「頑張ろう」と思えるか、「だるいなあ」と感じるか。
「だるいなあ」と感じるということは、まだまだストレス解消習慣に見直しが必要だという証拠。
どんどん帰宅後のストレス解消習慣を見直し、どんどん仕事を頑張り、出世なり自己実現で人生を充実したものにしよう。
人生は仕事だけではつまらない。帰宅後にも楽しみは必要なのである。